【香織と僕】その5  ...ちょっと、はずかしい方向に...


 ケーキを差し入れたあの日から、しばらく、ぼくは香織に連絡がとれなかった。...香織の巨大なボディと、とくに、その発達しきった豊満な胸の膨らみにとても興奮したことに、自分自身、心の整理がつかなかった。
 どんどん大きくなり、それに反比例するかのように、心細く、ひとりぼっちになっていく香織....。それを励まそうとして尋ねていったはずが、半年足らずで別人のように成長し、ものすごいグラマーな肢体を持った美女になった香織に、ぼくは欲情してしまったのだ。....ぼくの頭ほどもある、巨大な乳房。それに比べて極端に細いウエストと、張りのあるヒップ。....

 ケーキを前にして、無邪気に微笑む香織は、ふだん通りの、明るいコに戻っていたが、ぼくの方はそれどころではなかったのだ。ふつうなら、「ぷる、ぷる」とか、せいぜい「ぷるるん」と形容するだろう、オッパイの動き。それが、「ぶるん、ぶるん、ぶるん...」と。
 まさに、どでかい2つの砲弾が大きく揺さぶられるのを目の前で見せつけられてしまった。香織のほうは、そんなことはまったく意識していないのだから、なお始末が悪い。

 その瞬間、‘仲のいい、幼なじみ’という感覚は、もうぼくの中にはなかった。

 .....だけど、ぼくは.....
 
 正直いって、どうすればいいか、わからなくなっていた。




 10月に入った。自分の想いを整理しきれないまま、ぼくは、なんの張り合いもなく、キャンパスとアパートを往復していた。
 そんなある夜。なんとなく寝付けないままいると、電話が鳴った。
 
「あの…陽…くん? 香織です。」
「…あ、…えっと、その、…」  言葉が見つからない。
「このあいだは、ごめんなさい…」
「い、いや、こっちこそ、なんか、急にその…」
「ううん。……あ、あの、ちょっと相談したいことがあって…」
「…え? …な、なに?」
「……うん。あの…」

間が空く。ぼくは、どきり、とした。 …不安そうな声だった。その中に、妙に艶っぽい、耳をくすぐるような感触を耳に感じたからだ。…ぼくのいやらしい気持ちのせいか? 

 ....ぼくは、香織のことが、とても気がかりだ。 急に大きくなった身体を、どうしたらいいのか…心の中は大混乱している。そう、ぼくは、それをなんとかしたいと思ったから、香織の大好きなタルトを差し入れに行ったのだ。

......でも、やっぱり、あのエッチな大きな身体にすごく興奮してることも、ほんとうのことだ。

高校の時は、女の子にしては高い方だけど、身長180cmのぼくよりは背の低かった香織。それが、半年の間に、ぼくをはるかに追い越して、30cm以上も大きく育ってしまった。

…しかも、あのオッバイ。どうやったら、85cmのCカップが一月ごとに1〜2カップ以上も成長し、アンダーとの差が50センチ近く(計算の上では…なんと…Qカップ…そんなサイズって、ありえない!)にもなるんだ? …しかも、じっさいに目の前にしたときの衝撃は、数字以上のものだった。外国のグラマー専門誌でも見たことのない、まっすぐに飛び出した膨らみが、まるで肌色の巨大なプリンのように、ゆさゆさと揺れ動き、押さえつけているバスタオルから今にもこぼれ落ちそうになる。…そんな光景が、自分のすぐ近くにあり、それが、やさしい幼なじみの姿だとしたら…

......ぼくは、ぼく自身を抑えきれそうになくて、あわてて逃げ出したんだ。

コテージュのタルトを前に、無邪気で明るい、いつもの香織に戻ったのを見て、とても嬉しく、そしてその笑顔にどきどきした、ぼく。…そして、その、大きくなった身体と、それ以上にとてつもなく大きくなったエッチな胸の盛り上がりにも、もっともっと、気持ちが高ぶり、それを抑えられなかった、自分。
…どちらの気持ちにも、ウソはなかった。 …それを伝えたい。直接。

「あの、もしもし? 陽…くん?」

「…あ、じゃ、い、行くよ。いますぐ行く。…30分、いや20分で行く。…待ってて。」

そう言うなり、ぼくは電話を切ると、部屋を飛び出した。自転車に跨ると、全速力でこぎ出す。



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