【香織と僕】その3


 日曜日。ぼくは‘コテージュ’の新作、タルト・オ・フレーズなどケーキを8個も買い、香織のアパートに向かった。

   お互い大学に合格し、入学手続きをしに上京したとき、記念の‘お茶’をしに立ち寄った店がコテージュだった。そこが知る人ぞ知るおいしいケーキの店だ、というのは後で知ったことだ。香織は1ヶ月で店のレシピを制覇し、新作のケーキが出るたびに、必ず‘ためし買い’をするほどのケーキ好き。ぼくも、この店のケーキはそれほど甘くなく、上品な味が気に入っていた。

 ドアをノックする。…ちょっと間があってから、くぐもって小さな声が「…はい…」と聞こえる。 「陽だよ〜」 ぼくはのんびりと声をかける。

しばらくして、ドアのロックがはずされる音がして、ゆっくりドアが開く。
半分ほど開きかけたドアから、ちょっと不安そうな声が降ってきた。

「....ほんとに...驚かないでね。」
「なんで? あ、ほら、コテージュのさ、新作タルト買ってきたよ…」

靴を脱いで、玄関先に入り、顔を上げる。…すらりとした脚…華奢に見えるお尻と腰…そしてちょっと不安そうな表情が、ぼくの声を聞いたせいか、少し緊張が解けている。
その奥に見えたのは…襟ぐりからはみ出しそうになっている巨大な、バスト。砲弾のような豊乳のために胸元はパンパンに張りつめていた。

そこで気がつく。香織は前屈みになっているのだった。
そうして、香織はゆっくり、ゆっくりと、上半身を持ち上げていった。

重々しいふたつの膨らみが、ぼくの目の前を通り過ぎ、さらにそのはるか上に持ち上がっていく。さらに顔を上に…巨大な、まあるいバストのちょうど下半分が僕の目の前にきた。そして、香織の顔は、さらにそのはるか上。豊満な二つの房の先にかろうじて見える。ぼくの眼からは、香織の頭はもう天井にぶつかってるように見えた。

香織の身体はちっちゃなマンションの玄関いっぱいになっていた。

 腰から下はまだ18歳の若々しい躰の線が残っている。しかし、異常な発育を遂げた胸は、まるで巨大な水風船をつけているように、ぶる、ぶると揺れ動いている。着ているのが、ロングスリーブのシャツというのは、袖が肘の先にあるのでなんとなくわかった。なのに、その巨乳に丈をとられてしまい、お腹を覆いきれていない。もうおへそは丸見えだ。

身長212cm、バスト1m41cmインチ換算で55。

…電話で聞いたことを、じっさいに目の当たりにしてみると、そのすさまじい巨大なボディに圧倒され、ぼくは絶句したまま、玄関先で呆然と立ちつくしてしまった。

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