【おおきくなる、姉妹。】    このおはなしを、わたくしのサイトへ599,999ばんめにきてくださった、三山さんに、お贈りします。

   げんあん:三山さん へぼなぶん。:WarzWars    2007.Mar.01 /05.30 ver.01公開


その、いち。

警告:このお話は大人向けの内容が含まれる予定です。
法的な成人に達していない人は、大人向けの内容が含まれている内容のものを読んではいけません。
< 大人向けの内容、とは、性的、暴力的、その他未成年の人は避けるべき記述および描写のことです。>


これは架空の話であり、実際に存在する人あるいは事柄に類似することがあったとしても、まったく偶然のことです。



「もう、よろしいですか?…そろそろ、失礼したいので…。」
「…え、あ、そ、その…お礼というほど…じゃないけど、ジュースでも…」
「いえ、お化粧されたり着付けなさったり、つくろう準備にお時間かかりそうな小百合さんの邪魔になっても、いけないですから。」
「…そ、そう。で、でも…も、もうすぐヨシくん、来ると思うけ…」
「美貴さん、今日は夜ゼミがあって遅出だ、って言ってました。」
「あ、そう、そうなの…か、帰り道、わかる? だいぶ暗くなって…」
「来るとき覚えました。ご心配にはおよびません。」
「…そ、そう? じゃ…。 あ、あの、すいません、ちょっと出てきます!」

店の奥にいる、蝶ネクタイ服の男の人に声をかけると、小百合さんはあたしたちを小路の出口まで見送ってくれる。

「それじゃ、気を付けて。…ほんと、ごめんなさい。服、助かりました。ありがとう。」
「…失礼します。」

小百合さんが深々とおじぎをしてきて、サキ姉はゆっくりと、あたしもあわててぺこり、と頭を下げる。
頭を上げるタイミングを取れずにいると、ぐい、と少し強めに手を引かれ、相手が顔を上げる前にてくてくてくてく…。
なんだか、いつもより歩くスピードが速いみたいな気がする。

振り返ると、顔を上げた小百合さんが、あっというまに離れていくあたしたちに、苦笑いしながら手を合わせてる…

「ごめんなさいね〜! あたし、ほんと悪気、なかったの〜! ホントにごめん! 許してね〜!」

あたしたちが角を曲がるまで、小百合さんはずっとその場から動かなかった…。

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30分ほど前。
あたしたちがその古くて重そうなドアをノックしたのは、もう6時近かった。

あたし・三山サチ、15歳。今日は、お隣の、上月美貴にいちゃんのバイト先に荷物を届けに来たの…
ただ、あたしは3つ上のサキ姉に、トコトコついてきただけ、なんけどね。

で、そのバイト先、というのがこの店。周りもしーんとしていて開店する気配もない…。大人の世界は、6時なんて、きっとまだまだ早いんだね…

ほへー、と好奇心いっぱいで、辺りをきょろきょろ見回してたら、ドアのロックがはずれる音がした。

中から出てきたのは、身長175cmくらいありそうな、髪の長いすらりとしたすごい美人。
相沢紗世と上原多香子と竹内結子のいいとこ取りみたいな、すらっとした鼻筋と切れ長の目とくっきりした眉が印象的。
あたしたちを見て、ちょっと不思議そうな顔になる。それでもあたしたちにやさしく声を掛けてくる。

「あら、可愛らしいお客さん。なにかご用?」
「突然すみません。こちらで働かせていただいてる、美貴さんからの預かったものを届けに来ました。」
「…え? ヨシキって…ヨシくんのこと?」

さらに首を傾げるその美人さんに、サキ姉はいつものように、冷静に説明。
「美貴さんの服と、それから“小百合さん”という方のドレス“ほか”です。申し訳ありませんが、美貴さんとその方に渡していただけませんか?」
そう言うと、持ってきた紙袋をすっ、とその美人に手渡す。

「…ヨシくんから“美人から荷物が届く”って電話があったのは…このことか。
それでヨシくん、あたしのも…ありがとう! 助かったわ!」

よ、ヨシくん? …なんか妙になれなれしい…。 ちょっとムっとする、あたし。
その気配を感じたのか、その美人は頭を下げてきた。

「あ、ごめんなさい…はじめまして、わたしが小百合です。」

そう言うと、小百合さんは少し身体を曲げて、あたしたちと視線を合わせる。
…なんたって、身長148cmと135cmのミニマム姉妹だから。
おまけに、そのポーズでTシャツ姿の小百合さんの豊かな胸元がさらに強調されて、あたしみたいなちびでツルペタのコンプレックスを刺激してくれちゃう…

でも、小百合さんはそんなことには気づかず、さばさばした調子であたしたちに話し始めた。

「この間、悪酔いしたお客さんが店で暴れて、止めに入ったわたしとヨシくんをワインとスコッチまみれにしてくれちゃって…。
そこいらのドライクリーニングじゃ無理だと思ったんだけど…」
「手もみ洗いして、低温アイロンかけておきました。染み抜きもそんなに難しくなかったし。」
「え? あなたが? …すごいわぁ、わたし、家事全般、自分じゃなーんにもできないから…
 そうか、ふたりとも、ヨシくんの妹さん? …んーと、おねえさんは中学生くらい? しっかりしてるわね〜」

ちゅ、中学生? うわ…まずい。 

「こんな可愛い妹さんが、ふたりもいるなんて、ヨシくん、一言も…。ほんと、ありがとね。だいぶヨシくんと歳離れてるけど、すごくできる妹さんね〜。」

そう言いながら、サキ姉の頭をなでなでしてきた…サキ姉の瞳孔が、ひゅっ、と小さくなる。

「おまけに、こんなにちっちゃな、妹さん連れて…あなたは、小学4年生くらい? おねーちゃんとそんなに離れてない? 
…わあ、もしかして、おねーさん、ピカピカの中学1年生とか? それでアイロンがけできるなんて、すっごいよねー。」

ドレスが元通りになってすごくうれしいのか、あたしが聞いてても小百合さん、話が暴走ぎみ…
あたしが小学生に間違われるのはごくごく、ふつーにある話で、いつもなら、あたしの方が先に、どかーん! …とバクハツするんだけど…。

あたしは怖くてサキ姉の方を見れなくなっていた。

「中学生になったばっかりでも、こんなしっかり者のおねーちゃんがいて、よかったね…可愛いから、将来楽しみよね〜。
 きっと、あと3〜4年もすれば、すっごい美人になるよ、ホントホント。高校に入ったら、ぜったいモテモテ…
 あ、今の中学に入った時点でそうなってる? でも、まだ男の子がガキだから…」

はしゃぎすぎで話が止まらない小百合さんを遮るように、クールに返す、サキ姉。
「すみません、私は高校3年で、妹は中学3年生です。」

…沈黙。   空気がマイナス50度くらいまで下がった気がした。

「え…こ、高校生? で、妹さん中学2年…。ご、ごめんなさい、すごく可愛いから、間違えちゃった。
あわてんぼの早飲み込みは、ヨシくんにも言われるからなぁ。ほんと、ごめんなさい…」

冷たすぎる雰囲気をぶち壊すように、頭をこつん、とたたき、頭をぺろっ、と舌を出してあやまる小百合さん。その仕草で、豊かな胸がまたぷるるん、と揺れた。
…くやしいけど、その謝り方はまったくイヤミがなくって。けど、美貴にいちゃんの話が、またサキ姉のどこかのスイッチを入れたみたい。

「…美貴さんとは幼なじみで、お隣同士です。いっしょにいることが多くて、よく兄妹と間違われます。」
サキ姉にしてはめずらしく、話が長めだ。
「美貴さんとだいぶ身長が違うせいもあって、よく歳や学年を間違われるんですが…」
「そ、そうなんだ、そうよね! ほんと、ごめ…」
「お歳が上の方ほど、私たちを本当の年齢より‘若く’見て下さるんです。ちなみに…
今まで私を中学1年と思ったのは、遠い親戚の伯母さんはじめ、40過ぎの方ばかりでした…

…沈黙。   今度は、空気が完全に ぴきーん! と音がするくらいに凍りついた。




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