<ほんあんです>+ほとんど、そうさくにちかくなってきました…。
【お隣のちっちゃな妹】 ( げんさく:は、某外国の方です。 )
ティム、どぎまぎする
「たっだいまぁ〜っ! …あれ? だれもいないのか?」
Z月21日。
「…ま、いいか。そら、ティム、入った入った!」
3週間の合宿を終え、リックとティムは真っ黒に日焼けして帰ってきた。
どすどす、と玄関から廊下を抜けると、リビングのソファにどっし、と腰を据えるリック。
「ぷひゅ〜ぅう! しっかし、つっかれったなぁ、ティム! 最終日まで、10kmのランニング、1時間の柔軟体操!
おまけにだ、2時間のフォーメーション…それぞれに休みなしでみっちり連続で20セット! だもんなぁ…。
コーチ、絶対俺たちのこと人間だとおもってないんだぜぇ…はぁ〜あぁ。」
そんなふうに、大げさに言うリックを見て、ティムはくすくす笑う。
「お、そうだそうだ、な、ティム、シャワーでも浴びてさっぱりしようぜ! …悪いけど、俺、先に行っていい?
なんかここに帰ってくるだけでも大汗かいちゃってさぁ…」
「ああ、もちろん。どうぞどうぞ、ごゆっくり。」
わりい、わりい、と連発しながらバスルームへ行くリックを見送ると、
ティムはソファにどさっともたれかかり、大きな大きなため息をついた。
…リックの言い分もわかるほどに、だいぶ疲れが溜まっていた。
なにもやる気が起きず、ぼーっと天井を眺めていると…
玄関から誰かが入ってきて、廊下を歩いている気配がした。
…できるだけ足音を立てないようにしているのか、その歩の進め方はとてもゆっくりしているのだが、
なにか、とても重々しいものが床を踏みしめているような…
その、抜き足、差し足…というような足音は、ティムのいる居間を通り過ぎ、その先の小部屋を目指している。
( …あれ? もしかして、ローラじゃないか? …ああ…夏休み前に、ぐんぐん大きくなっちゃってたもの…。
ぼくは…なぜだか、その、大きくなっていくローラに…。
そう、モリィよりも、もう10cm近く背が高くなったローラを、なんだか、
以前の、ちっちゃくて可愛らしい“姫君”とは見られなくなっちゃって…
それよりも…むしろ、そ、その…すごい上背…
…おまけに、モリィよりも、もっと、もっと大きく見える、胸の膨らみに…どきどきして…
なんだか、落ち着いて眼を合わせることができなくなって… )
合宿に行く直前、GSのおかげでどんどん成長をしていくローラに、エッチな気持ちを抱いてしまったことを自覚してしまったティムは、
まじめなことに、自分のそれまでの“ナイト”ぶりにまったく反したあからさまな自分の欲望を責めていた。
…それは、モリィに“姫君をよろしく”と頼まれた事も相まっていたことはいうまでもない。
と、そのとき。
「…あ、いたっ!」
ごぅん、という鈍い音に続き、くぐもった声が廊下の奥、ちょうどローラの部屋の前で聞こえた。
…あ、また、つまづいちゃったんだな…。 ティムはある光景を思いだし、くすくすと声に出して笑ってしまった。
ローラは、そのちっちゃい身体のせいで、よく自室の手前にある段差を忘れて足をぶつけてしまうことがよくあった。
妹のリナを避けるためにこの家に避難していたときに、「あいたっ!」という声に駆けつけると、
涙目になったローラが足を押さえている。…そんな光景だ。
そこで、頭を撫でてやったり、ぶつけた足をさすってあげたりして、彼女を優しくなだめてあげる。
…すると、自分のドジにぷうーっと膨らませた頬からは空気が抜け、たちまち、とても嬉しそうにじゃれついてくる…。
( …そうだよ、ローラは、大きくなっても、ローラなんだ…。馬鹿だな、ぼくは…どうしてそれに気が付かなかったんだろう… )
( …以前のように、普段通りにすれば、いいじゃないか…。 )
( …あやまらなくちゃ…ローラに。 )
そんな思いが広がっていくと、ティムは自分自身に「よし!」と声をかけると、ソファから勢いよく立ち上がり、ローラの部屋に向かった。
廊下に出て、ふと天井を見上げたティムは、そこに違和感を感じた。
…天井の真ん中辺に、玄関からずーっとなにかが擦っていったような一筋の“跡”があり、それは奥のローラの部屋に続いていた。
「…?…」
その“跡”はローラの部屋の中に続き、ドアのてっぺんの縁で途切れていた。
そして、ドアの上辺には、なぜか、大きなへこみが残っている…
ティムはそこから視線をドア中央に。…そこには、可愛らしい文字で
「ローラの部屋:紳士たるもの、優しくノックすること。もちろん、パパも含む」
…と書かれた、テディベアの輪郭をしたボードが掛かっている。
コンコン… 「ローラ? 中にいるのかな? ごめん、ティムだよ…ローラ?」
ノックと共に、声を掛けてみる。
ぐぅおぉぁん!! ぼこん! ばら…ぱら、ぱらぱら…
部屋の上の方から、すさまじい音が響き、ティムは10cmほど飛び上がった。
「いったぁ〜い…」というつぶやきのあと、慌ただしい口調のローラの声が聞こえてきた。
「…ああああ、あの、あの、えと、て、て…ティム…さん?」
「うん、…あの、“さん”づけは無しにしようよ、ね、ローラ。」
また、あわてんぼのローラは、何かにぶつかったみたいだ…やっぱり、いつものローラじゃないか…。
ティムは、くすっ、と微笑んだあと、自分の不誠実な態度を恥ずかしく思い、改めてきちんとしたと謝罪をせずにはいられなくなった。
…でも、彼女、いったいどこにぶつけたんだ? 音はかなり上からしたけど…
いやいや、そんなことはどうでもいいんだ…
「…ローラ。ぼくはきみにあやまらなくちゃ、いけないことがある。…ここを、開けてくれるかな?」
…しばらくの、沈黙。 ティムはしんぼう強く、待った。
がちゃり。 …ロックが外され、ドアが20cmほど、ゆっくりと開いた。
ティムは自然に視線を下げていた…GSをテストする前の、ローラの顔がある”はず”の高さに。
が、もちろん、そこに彼女の顔はなく、あわてて夏休み前の、彼女を見られなくなった原因となった、
大きくなった身体の顔のあった辺りを見上げる。
…しかし、そこには彼女の顔は、なかった。
そこには…ドアと壁に挟まれ、まるでそこから溢れんばかりの勢いで、むにゅうっ! と扉の縁に押しつけられ、
はみ出しそうになった、肌色のとてつもなく深い深い谷間が、あった。
その途方もない膨らみは、真っ白なTシャツを引き千切らんばかりに押し返し、それがさらにそのボリュームを目立たせていた…
「…あ、あの…」
頭の上から聞こえた、ローラのか細い声に、はっ、と我に返るティム。
見上げると、さらにティムの頭2つ分上に、頬を染めたローラの可愛らしい顔が見える…くりくりとした、大きめの瞳。
つん、と上向き加減で、すっと長い鼻。そして、ちっちゃな、唇…。
しかし、1ヶ月前に比べ、丸みを帯びた幼げな輪郭がすらりと長くなり、姉のモリィのような、大人びた雰囲気になっていた…
眼があった瞬間、その変化の大きさに、ティムの心拍は突如100を超えていく。
ごくり。 …その圧倒的な魅力に引き込まれ、喉から心臓が飛び出すのを抑えるかのように、唾を飲み込むティム。
そして、10m四方に聞こえるかと思える自分の喉の音に、ドアが開いた瞬間焼き付いた光景で、すっかり忘れていたことを思いだす。
眼をローラのキラキラした瞳からそらさず、どもりながらも、ティムは話し出した。
「え、あ、そ、その…ろ、ローラ…。ご、ごめん! な、夏休み前は…その…
き、きみが急に、こ、こんなに素敵になっちゃうなんて、思ってなくて…
…すごく大人びて…ずっと見ていたりすると、どきどきしちゃって…その…」
( …! ティムは、あたしのこと、見ていてくれた! )
ローラはびっくりした。…その表情は、最初嬉しさに包まれたが、しかし、それはすぐに戸惑いにとって代わっていく。
( …でも… こんな、こんなからだ…。こんなに…大きく… )
ローラが不安になった、まさにその瞬間。
ティムもまた、ある恐ろしい記憶が、さっと頭の中をよぎった。
…家の浴室で、大人以上のボディに成長した妹と出くわした、あの時の衝撃。
…踏み台がないと自分では全く届かない、洗面棚の上にあるものに、いとも簡単に届くほどの巨体。
…自分の頭より大きな、とてつもないバスト。兄のシャツを着ても下半分も隠せず、自分の頭上で揺れている、その双房。
…しかも、そのボディを使い、巧みにその体格差を思い知らせる、その態度。
ティムのその体験は、‘巨大なボディの女性’に対して感じる興奮と同じくらい、彼にとっては大きなトラウマになっていた…
「……。」
「…ティム…さん…?」
「…ほんとに、ごめん! …許してもらえるとは…思わない、けど…。その…」
じっと自分を見上げていた、ティムが、つ、と視線を逸らす。その顔がやや翳る。
そのあとの言葉が、なかなか続かなかった。
ローラは、彼の手が、緊張で震えているのに気づいた。
モリィ姉に対して、恥ずかしさで一杯になりながらも、まじめにその想いを伝えようとしたティム…
その、ローラが彼らしい姿と、どことなく違う雰囲気を感じる。
彼は自分のことを気にしてくれていた…そのことだけでも、ローラの心はとても温かくなっていた。
でも…。なぜ…なぜティムは、震えてるの?
「あ…は、はい。わ、わたし…も、もちろん…です…」
ローラは、自分の大きくなった身体に恥ずかしさを感じながらも、思い切って、こくん、と頷いて肯定のことばを呟いた。
それでも、しばらく沈黙が続く…。
そうして、ようやくティムが口にしたのは、やはり同じ言葉だった。
「…ほんとうに、ごめん、ごめんなさい!」
なぜか敬語になっているその口調に、さらに違和感を感じたローラ。
と、頭を垂れたティムに、彼女の猛烈な膨らみが合わさってできた深い渓谷がニアミスしてしまった。
すると、びくっ! としたティムは、身じろぎするローラの動きで、むにゅ、むにゅ、と
ドアと壁の隙間で暴れる巨大な肌色のゼリーから飛びすさったのだ…。
…あれだけモリィ姉さんの胸の谷間に興奮してたティムなのに…どうしたの?
「おーい! ティム〜! どこいったんだ〜? おれ、もう上がったぜ〜。」
リックの声に、ふたりとも、はっ、と我に返る。
「あ、あの、その…ほんとに、ごめんなさい! じ、じゃ!」
あわてて言うやいなや、ティムはローラの部屋の前から、走るようにして立ち去った…
しばらく、その様子を呆然と見ていたローラは、力無くドアをぱたん、と閉める。
…なんだか、ティムは、途中からあたしのこと、怖がってた…
あ…もしかして。…あの、女王さま…妹の、リナ?
この、おっきくおっきくなった、あたしのからだが、あの妹を思い出させちゃう…?
どうして…? あたしは、あんなわがままで自分勝手じゃ、ないのに…
せっかく、ティムに気に入ってもらおうとしたのに…なぜ?
「…こんなの、こんなの…いや、いや!」
ローラはドアの前にしゃがみ込み、すすり泣きはじめた…
居間に戻るティムは、ローラにあやまることができたものの、むしろ不安が自分の中に広がっていくのを感じていた…。
( …ぼくは、ほんとうにローラと、昔のように話をしたり、ふざけあったり…そんなことができるんだろうか…? )
気がつくと、自分の股間がかちかちに強張り、歩くのを激しく邪魔していた。
もやもやとした、不安と、抑えられない興奮がまぜこぜになり、ティムの心を激しく揺さぶり始め…
それらのことを、どう考えたらいいのか…
彼の心臓のドキドキは、むしろ、大きくなったローラにドア越しに再会し、じっと見つめられたときよりも、もっと激しくなっていく…。