おおきなひと−41。

このおはなしは、みどうれいさんにさしあげた、このえ。のメモに、ヒントを得て、書いてみた、おはなしです。

【大きくなる娘(コ)】 (仮題) '05.May.16
    げんあん: みどうれい  ぶん。と え。:WarzWars





( あ……んもう。また、か。)

着替えを終えて、体育館に入ったとたん、賢治くんが新入生の女子マネージャーに話しかけられて、でれでれしているのが目に飛び込んできた。

ムカ。

賢治くんは、バスケットボール部のセンター。身長185センチ、体重78キロ。そんなにハンサムじゃないけど、すっきりした顔立ちとがっちりした体格で、とってもかっこいい。
おまけに、だれにでもとっても優しいので、すごく人気がある。
でも、1年前に、同じバスケの女子チームにいた私に「好きだ」って言ってくれて、それからステディな関係になった…と思ってたのに。

ムカムカ。

そう…賢治くんは、だれにでも優しい。いつでも、にこにこしてる。厳しいバスケ部でも、女子はもちろん、男子の後輩にだって怒ってるところを見たことがない。でも…

あ…。にこにこ笑いながら、あやまってるマネージャーの女の子にボールを渡して、頭をなでなでしてる。泣きそうな顔だった女の子が、ぱあっ、と明るくなる。
その子の背は、賢治くんのお腹の辺りしかない。…まるで先生にほめてもらった小学生。彼女、ふにゃふにゃの笑顔になってる。

なでなでなで。
ふにゃふにゃふにゃ。
ムカムカムカ。

そりゃあ、身長176センチの私だと、そんな簡単に、子どもみたいに頭をなでてくれたりなんて、できないと思うけど…。

にこにこにこ。
ムカムカムカムカ…。

と、身体の奥から、かあっ、と熱いものがこみ上げてきたと思ったら、私のユニフォームが、スパッツが、靴下が、靴が…急にきつくなってきた。

ぶっちん!  びりっ、びりびりっ!

ブラのホックがはじけとび、パンティが腰の辺りで千切れてしまう。胸元がばるるるん、と激しく揺れて、ユニフォームの胸の部分がすごい勢いで膨らんでいく。

いけない…はじまっちゃった。

私は、感情的に興奮してしまうと、身体が大きくなってしまう…それも、怒りの感情が一番よくない…どこまでも大きくなって、それをコントロールできなくなっちゃうんだ。

ばしっ! ぶちぶちぶちっ!

下を見たら、足先から靴下が破れ、お気に入りのバッシュの靴ひもが無惨に千切れ、足がどんどん大きくなっていく。

みるみるうちに、私の視界は上に持ち上がっていき、振り向いたら、体育館の2階になっている走路とトレーニング機器コーナーにいる人たちが、びっくりして私の方を見つめていた。…ということは、もう4〜5メートルくらいになってる?

そのときには、私の着ているものは全部びりびりに破けて、その端切れが身体にまとわりついているだけ。

ごつん。

私の頭が天井の鉄骨にぶつかる。もう、身長は9メートル近い。それでも、まだ私の身体はぐんぐん成長を続けている。

私は背中を丸めて、できるだけ身体を縮めようとする。そうすると、とんでもない大きさに膨らんだ、ふたつのまんまるのバストが、ぶるん、ぶるん、と揺れながら、真下を向いた。…すごい大きさ。

体育館で練習していたのは、バスケ部員のほか、バレー部・バドミントン部・卓球部・体操部がいた。そのひとたちはみんな、もう私の膝の半分くらいしかない。…12〜3メートルくらいになっちゃってる?

みんな、私のずっと下でようやく散り散りになって逃げだそうとしていた。…でも、賢治くんと女子マネは、足がすくんでいるのか、さっきの場所から動けなくなっていた。

ぎしっ、ぎしっ、ぎしぎしぎしぎし…。

背中が鉄骨を曲げていく。ああ…もう…だめ。

ばりん! ばりばりばりっ! ぐわああんん! 

すさまじい音がして、天井を背中が突き抜ける。ぐにゃぐにゃになった鉄骨や、屋根の破片が体育館の中に落ちていく。私は賢治くんたちのすぐ上に上半身をずらし、大きなバストと手をかざして、破片が当たらないようにしてあげる。

驚いたことに、バストがさらに大きく、大きくなっていて、上半身を起こしたら、ばるるん、と揺れながら、天井をさらにばりばりと引き裂いてしまい、開いていた裂け目が倍近い大きさになってしまった。

…もう、体育館の倍近い高さ、16メートルくらいになっている。それでも、まだ私の身体は大きくなり続けていた。

回りを見渡すと、みんながどんどん外へ逃げ出しているのが見えた。バストがすごく大きくなっていたので、その下にある中のようすがよくわからない。

私の腰の周りで、まだ、ばらばらと天井を壊した破片が落ちていた。

だれか、けがしてたり…まさか…死んだりしてないよね? 

さすがに、ちょっとあせる。…すると、カッカしていた身体の熱が、急にひゅうっ、となくなる。

すると、くくん、と自分の身体が大きくなるのをやめたのが、わかった。

ああ…よかった。やっと、止まってくれたぁ…。

それでも、もう、私の身体は体育館のはるか上に飛び出し、上半身が丸見えになっちゃってた。しかも、すっぽんぽんの、ぽん…。いつものこととは、いっても…ねぇ。はあああ…。



私は足元を探りながら、膝をついて、しゃがんだ姿勢をとる…。すると、膝小僧のところで、バレーのネットらしい網の感触があり、びよよん、ぐしゃん、と音がした。…どうやら、膝にひっかかったままポールごと引き倒したみたい…。

「うわあっ!」  …そんな悲鳴みたいな、小さな声が聞こえた、ような気がした。

あれ…賢治くんの声? …まだ、あの子といるの?

その時には、もう、私は18メートル近い大きさになっていたと思う。…だって、しゃがんでいても、まだ頭のてっぺんの高さは体育館よりも倍以上あるんだもん。

私は、賢治くんを探す。

…いた。体育館の隅の方で、気絶したらしいマネージャーの女の子をマットの上に寝かせて介抱している。…やっぱり、優しいんだよね、彼。

…そういうの、もっともっと、私にも見せてほしいのに…。ちょっとこらしめないと、ね。

私は、わざと硬い口調で、呼びかける。

「ねぇ、賢治…」  あえて、ふだん使わない、呼び捨てで。

賢治くんが、びっくぅ! と全身を震わせたかと思うと、おそるおそる、声のする、上の方を見上げる。

…私は、自分のおっきなバストを避けるようにちょっと首を傾け、賢治くんを見下ろして、にっこりと微笑む。

「いっつも、だれにでーも、優しいんだよね〜、賢治って…」
「あ…里美…いや、その、あの、こ、これは…」

しどろもどろになっている賢治くんに向かって手を伸ばし、ユニフォームの背中を軽くつまんで、そぉーっと持ち上げる。

さいしょのうち、ばたばた暴れてたけど、天井の鉄骨がぐにゃぐにゃになってる辺りを通り過ぎてるところで、急におとなしくなった。…そりゃ、そうか。下からもう11メートルくらい上に来ちゃってる。落ちちゃったら、けがじゃ、すまない。

残ってる屋根や鉄骨にぶつからないように、ゆっくり、ゆっくり持ち上げ続ける。…そうだよね、私が壊しちゃったんだよね…あれ。

賢治を探して見下ろしたとき、ところどころに落っこちた鉄骨がささってて、床板がべきべきにひしゃげてるところも、あった。…みんな、その前に逃げてくれてたから、よかった…。

でも、私は背中の鉄骨が当たったところとか、おっきな胸に落ちてきた破片がちょっと痛かったくらいで、なんともなかったけど…。こんなに大きくなったこと、今までなかったから…。

えーと、もしかして、身体も力も、そーとー強くなっちゃってるのかな?

賢治くんをそのまま顔の前まで持ってくる。彼の身体はちょうど私の手のひらにおさまるくらいの大きさに縮んでた。…あ、違う違う、私の方がおっきくなっちゃってるんだっけ。

ちょっと顔色が青い。私がユニフォームをつまみ上げている人差し指を、賢治くんの両手が、がっちりと捕まえていた。

そうか、賢治くん…私のこと、こわいのかも。 そうなのかも。
安心させるために、そっと、囁いてあげる。

「あら、賢治、どうしたの? …こわいの?」
「…なな、なに? そんなこたぁないっ! …ま、また、でかくなりやがって…いくらなんでも、こりゃ…」
「なぁによぉ! 賢治がいけないんじゃないの!」

ちょっとムっ、としたので、ほんの軽く左右に振ってあげる。

「うわぁ、ちょ、ちょと、まったまった、オレが悪かったから…た、高いから…お、落とすなよ!」
「だいじょうぶ、ケガなんて絶対させないから…それに、今ここから落ちたって、ほら…」

そう言って、つまんでる身体を前に傾けてみせながら、私は上半身を軽く揺さぶる。

「…この、おっきなクッションがあるから、だ・い・じょう・ぶ。」

賢治くんから見ると、2メートルくらい下になるのかな…すごく大きな肌色の膨らみが、ばるるぅん、ぶるぅん、ぶるぅん、と上下左右に動き回る。…ちょっと、恥ずかしいな…。

それに、もし落っことしちゃったら、あぶないし…そう思って、少し下の方に下ろしてあげる。すると、賢治くんの顔がかあーっ、ってゆでタコみたいに真っ赤っかになってきちゃった。

よく見ると、いつの間にか私の人差し指をつかんでいた両手が降りていて、トランクスの前の部分を隠していた。…そっか…。そうなんだね。

「あれぇ? どしたの? コカン、打っちゃった? だいじょうぶ?」
「…え、い、いや、これは、なんでもないなんでもない。だ、だいじょうぶだから、うん。いやぁ、オレが悪かった、ほんと、(なんだかわからんがその)ごめん! だからうん、なんでもないから、下ろしてくれる? うん、そう、だ、だからさ、下ろしてくださいませんか?」
「心配だなぁ、ほんとにだいじょぶ? うん、見てあげるよ、ここだよね?」

私は、空いてる方の手を伸ばすと、賢治くんが隠している下半身のユニフォームに人差し指をちょん、とかける。

「いや、いや、違う違う違う! ま、まてまてまてまてまて! まった、まったまった、まったまったまった! やめろ! …いや、やめてやめてやめて、お願い!」
「あ、たいへん! 腫れてるよここ! ほら、早く脱がして冷やさないと、熱がこもってよくないよ!」

必死になって両手で裾をがっちりと押さえつける賢治くん。

やろうと思えば、簡単に引き千切っちゃうこともできるけど、ちょっと、遊んじゃっても、いいよね…罰として、ね。

私は親指と人差し指で、つかんでるところのすぐ脇を下着ごとつまんであげて、かるーく下にちょい、と降ろしかける。

それだけで、ずるっ、と落ちかけて、でも、賢治くんが押さえつけてる前の方は“残った”ので、お尻の方は丸見えになっちゃった。

「いやいやいやいやいや、おとととととと、待って、待ってまって、まってくれ、タンマタンマタンマタンマ!」

あ…前の方は、すごく尖ったテントみたいになってて、そこに布地がひっかかってるの…。おまけに、賢治くん、けっこうがんばってる。つかんでる部分はほとんど下に落ちてなかった。

イジワルしたくなって、私は、つまんでいるところを、上にツンツン、下にツンツン、と軽く往復運動を始めてみる。

「いや、ま、待った、待った待った待って待って待って、あ、いやいやいやいや、こ、こすれてこすれてこすこすこすこすこすれて、やめ、やめて、やめやめやめやめやめ、あーあーあーあーあー」
「え? どしたの? だいじょぶ? ね、賢治?」

賢治くんは、脚をバタバタさせて、息がどんどん荒くなっていってる…。

うふふふ…こんなの、ほんの、小手調べだよ。

これから、ホントに楽しい“罰ゲーム”のはじまり。…さて、ど〜して、あげよっかな〜。



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